万年3位から,一気に圧倒的なトップアドバンテージを得たクイックタイムが,あえて示した反対,拒否の姿勢。名よりも実をとった行動は,ユーザーにどう受け止められるか?
アップル社は,クイックタイム6とストリーミングソフト「クイックタイム・ブロードキャスター」を発表した。しかし,MPEG LAの提唱したMPEG4のライセンス条件に合意していないため,両ソフトウェアは提供できる状態にあるものの,提供はライセンス問題が解決してからとしている。
クイックタイム・ライブでのクイックタイム6登場はほぼ確定していたので,そろそろ提供されているかなと思ってウェブにアクセスしてみたら,あらないねと思っていると,日本語訳のニュースリリースが届いて茶を吹き出しそうになった。「QuickTime 6は既に完成していて配布は可能ですが,アップルはMPEG-4ビデオライセンス条件が改善されるのを待ち,配布する予定です」。これ,公式のニュースリリースのままだ。なんともあからさまな,MPEG LAへの反対表明,拒否反応。こうすれば,MPEG LAは追い込まれる,ということを知っての行動だろう。
それにしてもスゴイ,クイックタイム6。MPEG2のデコード(エンコードがないのは予想済み,だがMPEG2デコードはDVDのあれやこれやの意味でうれしい(^_^;),MPEG4のエンコード/デコード,そしてクイックタイム・ブロードキャスターによって,ほとんど誰でも簡単にストリーミング・ビデオを流せる態勢を提供する。リアルもMSも一気に突き放す爆走だ。…約束されていたクイックタイム6の地(過去記事),まだ足を踏み入れることはかなわないが,岸壁には停泊した。澄み切った地表に海は凪ぎ,かけがえのない扉が,開く。
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